ペットの食事と仕事 豆知識
みなさんは、今パートナー(愛犬愛猫)のペットフードについて、製造や表示のルールがどうなっているかご存知でしょうか?
ペットフードは法律上「食品」(人が口にする食べ物)という分類ではないため、食品のための「食品衛生法」や「食品表示法」といった法律は適用されていません。かわりに、「ペットフード安全法」「景品表示法」「薬機法」といった法律が適用され、また「ペットフードの表示に関する公正競争規約」という業界団体が決めたルールによって規制されています。
「ペットフード安全法」は犬や猫の健康を守るための法律。ペットフードを製造・販売する事業者の登録を義務づけたり、有害物質を含むフードの製造禁止などを定めています。
一方、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」は、不適切な表示をおこなう事業者を減らして、消費者が合理的に商品を選べるようにし、公正な競争が促す、という目的があります。
これらのルールにのっとり、ペットフードの表示がなされていますが、ここでクイズです。
【Q】ペットフードで「ナチュラル」「自然」といった記載をするには、どんな条件をクリアする必要があるでしょう?
【A】化学的合成物、および着色料を使用していないフードにのみ、表示できます。
ただし、総合栄養食は、ちょっと例外。
栄養バランス上欠かせないビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類のみに化学的合成物を使用している場合は、その旨を「ナチュラル」「自然」などが最も目立つ形で表示されている箇所に、その表示の4分の1以上のフォントサイズで併記すること、また「エトキシキン、BHA、BHT等の合成の酸化防止剤を使用していないこと」の2条件を満たしていれば、表示できます。
このような定義なので、「ナチュラル」と記載のあるペットフードに対して、『養殖ではなく天然の食材を使っている』や『できるだけ農薬を使わない食材を使っている』といったイメージは誤った解釈だということが分かりますね。
【Q】ペットフードの外装に、特定の原材料の絵や写真(例:鶏肉のイラストなど)を記載するには、どんな条件をクリアする必要があるでしょう?
【A】特定の原材料を、ペットフードの内容量の5%以上使用している場合にのみ、絵や写真、商品名、説明文に表示できます。
逆に言うと、最低5%配合していれば記載できるので、実際の食材の配合量はフードによってさまざまだということを知っておく必要があります。
【Q】ペットフードで「国産」と表示するには、どんな条件をクリアする必要があるでしょう?
【A】ペットフードの製造工程のうち、最終加工工程を完了した国を「原産国」といいますが、原産国が日本の場合は、単に「国産」と表示できます。
つまり、「原産国 は、原材料の生産地という意味ではない」という点に注意が必要です。
ちなみに、「最終加工」の作業内容は、どんなものでもOKというわけではありません。
次のうち、「最終加工」とみなされないのは、どれでしょう?
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■輸送又は保存のために、「乾燥する」or「冷凍する」
■未包装のペットフードを容器に詰める(または包装をする)。
■商品を開封して、再包装する。
■商品を単に詰め合わせる、または組み合わせる。
■商品にラベルを付け、その他標示を施す。
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実は、いずれも「最終加工」とはみなされない作業です。
安易に原産国表示を操作できないようになっているんですね。
上記以外にも、ペットフードの表示ルールは細かく規定されています。
表示ルールを知ることは、フード1品1品を理解するための第一歩。「愛犬に合ったペットフード選びをしたい」「ペットフード選びのアドバイスをしたい」という方はぜひ知っておきましょう。
ペットフーディスト養成講座では、ペットフードについて種類別の特徴・表示・法律・選び方などについて詳しく学べます。