ペットの食事と仕事 豆知識
パートナー(愛犬)への手作りごはんに挑戦したい人のハードルになることの1つが、「調理方法」。
「生で与えたほうがいいの?」
「加熱するなら、どのくらい?」
「食材ごとに、調理法は変えたほうがいい?」
美味しくて身体にいいものを食べさせてあげたいと願うオーナー(飼い主)だからこそ、悩む点ですよね。
実は、犬の手作りごはんに絶対的な正解はなく、さまざまな考え方があります。
そこで、ペットフーディスト養成講座「犬の手作り食」担当講師・南村 友紀先生(kitchen dog!代表)から、長年のレシピ考案により導き出した「調理方法4原則」をお伝えします。
調理の前にイメージしよう。めいっぱい栄養を吸収するには…
食べたものは、すべてが身体に吸収され役立つわけではありません。
食材に含まれるさまざまな栄養素はこんな流れで身体をめぐります。
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1.吸収できる状態になるまで「分解」される
↓
2. 腸壁の絨毛(じゅうもう)から「吸収」される
↓
3.栄養素が体内に入り、「活用」される
↓
4.不要なものはウンチとして「排泄」される
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だから、調理法を考えるとき、まず大切なのは
◎目の前にある食材の内容と状態をみて『どんな調理をしたら、きちんと消化・吸収されるか』をイメージすること
◎パートナーに与えた後、うんちと体調はどうだったのかをチェックし、必要があれば調理法を調整すること
なんです。
『必要最低限の加工』を心がけよう
南村先生が考える犬の手作り食の基本は、
◎安全
◎犬の食性・身体の仕組みにマッチした食材
◎必要最低限の加工(調理)
です。
調理の役割は、「栄養素の分解と吸収を助ける」「おいしい風味をつける」ですが、それによって【栄養素を失いすぎない】ように気を付けます。
だから【必要最低限の加工をすること】が大切になります。
食材別『調理方法 4原則』
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【1】肉:新鮮なものなら、栄養素を極力壊さない最低限の加熱をする
新鮮であれば、生のままでもいいし、表面だけをさっと焼くくらいでもいいですね。
【2】野菜:栄養素を残しつつ加熱し、細胞壁をこわすくらい細かく砕く
野菜によって、火の通り方は違います。それぞれの食材ごとに、栄養素の破壊を最低限にしつつ、消化できる方法で調理します。
【3】炭水化物:α化し、消化しやすくする
α化とは、米や小麦など、生では消化できないでんぷんを、加水加熱によって糊化(ふっくらと消化の良い状態)すること。そのまま放置すると、再びβ化してほそぼそとした口当たりになり、消化が悪くなるので、その場合は再加熱でα化してから使用します。
【4】脂肪:極力酸化しないよう、熱変性に気をつける
熱により酸化する脂肪は、生に近い状態が望ましいです。特に酸化しやすい「オメガ3系脂肪酸」を含むオイルは、非加熱で使用しましょう。
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これを原則とし、実際に調理してみることで、「どのくらい加熱したら栄養素を壊さず、消化しやすくなるか」を見極めるセンスを磨きましょう。
これは、犬だけでなく、人の食事にも通じるお話。レシピどおりに作るのではなく、食べる犬、人に合った食材と調理法を見極め、美味しく、身体にやさしい食事をつくってあげたいですね。
【受講生募集】
ペットフーディスト養成講座では、犬の手作り食について、調理ポイントのほか
■食材の量がスパッと決まる計算式
■調理方法別 栄養損失率 早見表
■AAFCO基準のごはんレシピ
■食材の選び方
など、詳しく学べます。