ペットの食事と仕事 豆知識
当講座の関連会社では、犬の健康相談受付サービスを行っています。その相談内容で最も多いのが、「病気をかかえた犬の食事のご相談」です。
「病気が関わる食事の相談」といっても、実に内容はさまざまです。
「肝臓と腎臓の数値が悪い状態。フードは何にしたらいい?」
「腎不全だけど、おやつはどんなものを選んだらいい?」
「療法食に切り替えたけど、太ってきた(または痩せてきた)。このまま与え続けてもいい?」
「今使っているアレルギーフードはニオイが嫌いなので変えたい。他にいいものはある?」
「悪性腫瘍で治療中。サプリメントでケアしたい。」
病気を抱える犬や猫の食事についてアドバイスを行うためには、まず、以下2つの基礎知識が必要です。
【1】各器官の「正常な状態・働き」「異常の内容」「異常が出たときにどんな病気・症状が発生するか」という全体像を理解する。
【2】病気を発症している器官に対して、「食事で実現できることは何か」「どんな食事がそれを可能にするのか」を知る。
では、ここで実際の病気を1つ例にあげ、【1】【2】のポイントを少しご紹介します。
「消化管」の病気がある犬や猫の、食事アドバイスに必要な知識
【1】消化管の働き、異常、主な病気の全体像
消化管と一口に言っても、器官は「口、食道、胃、小腸、大腸と膵臓」といくつもあります。
このうちどこかに異常があると「下痢・嘔吐」をはじめとする消化器症状が発生します。
今回はそのうちの「胃」について記載します。
■胃の「正常な働き」:
・ 食べ物を粥状にする
・ 消化酵素(ペプシン)の分泌 など
■胃の「異常」:
・食べ物の胃内滞留時間が長くなる
・胃内圧が変化する など
■胃の「主な病気」:
・胃炎
・胃捻転症候群 など
【2】消化管の病気に対して、食事でできること
病気に対して食事ができることは、例えば「代謝変化を正常化させる」「これ以上負担をかけないようにする」「再発の防止や予防」などがあります。
消化官の病気に対する、上記の食事一例をご紹介します。(当講座では、具体的な食事としては療法食を紹介しています)
■【これ以上負担をかけないようにする】
・「消化に良い食事」が消化管の負担を減らし、回復を促します。消化が良い食事、悪い食事の特徴をふまえ、アドバイスに活かします。
例)高脂肪より「低脂肪」、高食物繊維より「低食物繊維」の食事が消化しやすい
・下痢や嘔吐では、ビタミンB群やカリウムなど、代謝などに欠かせない栄養素が体外に失われてしまいます。これらの栄養素の不足を生じないように補える食事内容にします。
また、食事に含まれる食材や栄養素だけに限らず、「与え方」や「頻度」なども食事内容の一部。この視点から各病気に対して気を付けるポイントも理解します。
実際にアドバイスをする際は、上記を頭に入れた上で、飼い主の方が最も気になっている点をふまえつつ、お伝えします。
誤った知識を持っていたり、知識をお持ちでないことからお悩みが発生している場合には、正しい情報をお伝えした上でアドバイスしましょう。
もちろん、気持ちに寄り添ってお伝えするということも忘れずに^^
ペットフーディスト養成講座では、犬と猫の病気(消化管、肝臓、腎臓、尿路、内分泌、心臓、食物有害反応、がん、骨と関節、肥満)にまつわる食事管理について詳しく学べます。