ペットの食事と仕事 豆知識

犬と猫のための「オイル選び」に詳しくなろう

オイル

オリーブオイル、魚油、亜麻仁油…
人の世界では「必須脂肪酸」の大切さから、質のいいオイル(油)を摂ることや、オイル選びに注目が集まっています。

 

そして犬と猫の場合も、オイルは大切!
なぜなら、犬と猫の脂質は、1日の最低摂取量がAAFCOで定められている、「必ずとるべき大切な栄養素」だからです。

<食事中の栄養バランス(重量比)>
:脂質5.5%、タンパク質18.0%](成犬)
:脂質9.0%、タンパク質26.0%](成猫)

※AAFCO基準(2016年版)


ペットフードだけを食べているパートナー(愛犬愛猫)なら、必要な脂質は十分に含まれています。でも、「自分でオイルを選びたい」「愛犬の体質を考えて、オイルを少し足したい」というオーナーの方(飼い主)も多いのではないでしょうか。

 

ということで今回は、犬と猫のためのオイル選びに詳しくなれる知識をご紹介します。


オイル選びの前に…脂質の「基本のき」

脂質の働き

「脂質」は5大栄養素の1つ。「エネルギー源」であること以外に、こんな大切な働きがあります。

・脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収
・細胞膜や血液の成分となる
・ホルモンを作る
・内臓を守る
・体温を調節する

 

「必須脂肪酸」って何?

一口に脂質と言っても「中性脂肪」や「ステロイド」などいろんな形があり、大きくは3つに分類されます。
その1つである「脂肪酸」は、身体のなかで脳神経やホルモンなどの中に存在し、体をコントロールする働きを持っています。
脂肪酸は、ざっとこれだけの種類があります。

ただし、これらは犬や猫の体内で合成できるものも多いため、全てを食事でとる必要はありません。

 

<脂肪酸の種類>

必須脂肪酸は体内で合成できないもの

人と犬はリノール酸からγ-リノレン酸、アラキドン酸を作り出せます。
猫は、その合成能力がないため、犬の必須脂肪酸に加え、アラキドン酸が必要なのです。

 

<必須脂肪酸の体内合成>

 

「n-3 系」と「n-6 系」は摂取バランスが大事

不飽和脂肪酸はn-6 系脂肪酸とn-3 系脂肪酸に分類されます。
n-6 系脂肪酸は、犬や猫にとっても皮膚や被毛の健康に重要ですが、摂りすぎるとアレルギーなどの炎症を促進する物質を作ります。逆にn-3 系脂肪酸のEPA から作られる物質は抗炎症作用があります。
そのため、AAFCO(米国飼料検査官協会)では、犬と猫のn-6 系脂肪酸とn-3 系脂肪酸の摂取バランスは最大許容量としてn-6:n-3=30:1としています。
一般的なペットフードでは、5:1~10:1 の比率で配合されていることが多いようです。


いよいよオイル選び!

この脂肪酸をとりたいなら、このオイル!

1つのオイルには、複数の脂肪酸が含まれています。
ここでは、他のオイルよりも多く含まれていたり、吸収性が高い脂肪酸にあわせて、「この脂肪酸を摂るならこのオイル」をご紹介します。

 

<必須脂肪酸別 おすすめオイル>

犬に与えやすいオイルと特徴

◆亜麻仁油


植物油の中で最もα-リノレン酸を多く含むオイルです。
ただし、炎症の軽減に役立つには、体内でEPAやDHAに変換される必要があります。
体質によってこの変換が得意な犬とそうでない犬がいるため、直接EPAやDHAがとれる魚油やクリルオイル、サプリメントを与えても。


◆えごま油

約70%が多価不飽和脂肪酸。そのうちα-リノレン酸が約60%ですが、オレイン酸も含んでいます。

 

◆大豆油


約50%がリノール酸です。抗酸化作用を含むビタミンEが多く含まれます。

 

◆ごま油


リノール酸とオレイン酸を半分ずつ含みます。抗酸化作用のあるセサミンが含まれます。

 

◆オリーブオイル


オレイン酸が70%以上ですが、リノール酸も多く含まれます。抗酸化作用を含むビタミンEも豊富です。

 

◆クリルオイル
クリルは外見が海老に似た南極オキアミという生物です。魚油と同じように、DHAやEPAなどのn-3 系脂肪酸や抗酸化作用の高いアスタキサンチンが豊富に含まれています。魚油よりも体内への吸収スピードが速いことが特徴です。


※番外編※
◆ココナッツオイル


動物性脂肪と同じ「飽和脂肪酸」の仲間で、必須脂肪酸源としての摂取ではありませんが、効率よくエネルギーとして使われるという性質があります。ですので、ダイエット中に使う脂質として、または病中・病後などエネルギー補給が必要な場合に活用できます。(猫は脂肪肝症を起こす可能性があるため、犬のみに与えるようにしてください)

 

<与え方>

・スプーンで食事に少量たらします。
・主食がフードの場合は、フードの量を少し減らして与えましょう。
・少量でも必要な成分がとれますし、カロリーが高いので与えすぎに注意しましょう。
・必須脂肪酸を含むオイルは酸化しやすいので新鮮なものを使用しましょう。

 

いかがでしたか?自分で栄養学と食材の知識を持ってみると、パートナー(愛犬愛猫)の食事選びがもっと楽しくなります。ペットフードだけを与えているオーナー様も、ぜひ、自然の食材を少しずつプラスしてみてくださいね。

 

 

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